苫米地式コーチング認定コーチの萩原崇です。
ルー・タイスが永逝して10年以上が経ちました。
今でもルー・タイスが遺したTPIEやPX2といったプログラムを通して世界中に影響は広がり続けています。
日本でもあまり知られていないルー・タイスの歴史を紹介していきます。
ルー・タイス(Louis E. Tice)の歴史
ザ・パシフィック・インスティテュート(TPI)の設立まで
ルー・タイスは、1935年11月15日にワシントン州シアトルで生まれました。
彼は高校のフットボールのコーチとしてキャリアをスタートさせました。ワシントン大学で精神保健教育の修士号を取得する間に、客員教授が提供する認知心理学の講座に出会い、大きな衝撃を受け、その後の人生を決定づけることになります。
ルーは、当時は画期的だった認知心理学の研究結果を読み込み、それらを実用的で使いやすい概念と原則に置き換えることを続けていきました。
それを高校のフットボールチームで試してみて大成功を収めることに成功しました。
そして1971 年、ルーと妻のダイアンはザ・パシフィック・インスティテュート(TPI)を設立しました。
TPIで全世界に展開
高校のフットボールチームで認知心理学の概念を試して大成功を収めた後、ルーは教室を世界に広げました。ルーは、一度のセミナーでは受講できる人数には限界があり、多くの人にこの教育プログラムを提供することができないと考えていました。
そこで、この教育プログラムをビデオに収めて映像として提供することを始めました。これも当時画期的なやり方でした。ダイアンは、プログラムの体系化を進めマニュアルを作成する役割でした。
1980 年には、TPIは研究所は米国とカナダを超えて成長し、国際舞台への進出を開始しました。今日では6大陸60カ国以上で提供され、20 カ国語以上に翻訳されています。
ルー・タイスが40年以上にわたって作り上げ、発表してきた教育プログラムは、世界中の何百万人もの人々に影響を与えました。
日本での活動
2007年12月4日は、ルー・タイスと苫米地英人博士がコーチングを世界に広げる共同プロジェクトが発足することとなった記念の日です。
その後、2008年9月21日(日)に「ルー・タイス×苫米地英人 スーパーライブ」が一橋大学千代田キャンパス学術総合センターに開催されたのを皮切りに、2009年3月28日(土)「TPIE日本導入記念講演 ルー・タイス×苫米地英人 スーパーライブ」が一橋大学千代田キャンパス学術総合センターにて、2009年11月19日(木)に「苫米地英人講演会 続・未来の記憶の作り方」が新宿文化センターにて開催されました。
そして、2009年12月19日(土)に「TPIEディプロマ認定コース&ルー・タイス×苫米地英人 スペシャルライブ」が六本木アカデミーヒルズ40にて開催されました。
ルー・タイスの功績
北アイルランド紛争における宗教対立の終結へ向けた活動
北アイルランドでは多数派のプロテスタントと少数派のカトリックとの間で宗教対立が続いていました。1972年にはロンドンデリーにおいて「血の日曜日事件」と呼ばれる悲劇も起きました。
この対立にルー・タイスが尽力し、1998年和解への道を歩みました。
グアテマラ共和国における平和条約締結以降協働
グアテマラでは1960 年から 36 年間にわたる内戦が続き、1996年にグアテマラ政府とグアテマラ民族革命連合(URNG)との間で和平合意が成立しました。
平和条約締結以降、グアテマラ共和国の政府と共同して、同国の教育システムの変革に尽力しました。
南アフリカ共和国におけるアパルトヘイト終結へ向けて協力
南アフリカ共和国では、1961年から1991年までアパルトヘイト(人種隔離政策)を実施していました。この政策により、アフリカ人やインド人、カラードの人々は、白人に対して劣った扱いを受け、社会的・政治的な権利を制限されていました。
アパルトヘイト撤廃に尽力したのは、南アフリカ共和国の反アパルトヘイト勢力や国際社会の支援を受けた、当時のアフリカ民族会議(ANC)の指導者ネルソン・マンデラ氏などの活躍が大きかったです。
そのマンデラ氏の裏側で活動していたのがルー・タイスでした。ルーは米国シアトル州から、周囲の反対を押し切り南アフリカまで足を運んでいました。
A Better LAプロジェクトに参画
2003年、カリフォルニア州立大学フットボールチームのヘッドコーチであるピート・キャロルと共に、“ベターL.A.プロジェクト”を展開しました。
ベターL.A.プロジェクトでは、ロサンゼルス保安署、ロサンゼルス警察署、社会奉仕団体、ボランティア、そして地元暴力団グループと協力して、未成年者同士の殺人事件の撲滅を目指しました。
若者が若者に関わり、犯罪に関わる若者が犯罪を嫌うよう働きかけることによって犯罪の撲滅に顕著な成果を上げました。
その他
また、米国ペンシルベニア州フィラデルフィアのストリートギャング問題の解決への取り組み、メキシコ元大統領のビセンテ・フォックス氏と協力したPX2を利用したラテンアメリカ諸国の教育プログラムの改善への取り組み等、世界各国で社会的活動を行ってきました。
ルー・タイスの著書
代表的な著書はこちらです。
ルー・タイスの協力者
アルバート・バンデューラ Ph.D.
スタンフォード大学心理学部社会心理学科教授。国際的に論文引用の多い心理学者「20世紀を代表する100人の心理学者ランキング」4位。
TPI教育における「自己効力感」 「組織としての効力感」に関するカリキュラム作成に協力。
マーティン・E.P.セリグマンPh.D.
ペンシルバニア大学心理学部教授。臨床技術教育指導教授。元全米心理学会理事長。
著書『オプティミストはなぜ成功するか』に書かれたマインドの変え方、人生の転換の仕方、変化をもたらすものともたらさないもの等の「ポジティブ心理学」で、TPI教育にも大きく貢献。
ゲーリー・レイサム Ph.D.
トロント大学経営学部教授。1991 年度カナダ心理学協会会長。
組織ならびに個人のゴール設定理論の権威で、TPI教育のカリキュラムに精通。
グレン・テリル Ph.D.
コロラド大学心理学部長。リベラル・アーツ・アンド・サイエンス・カレッジ学長。
「教育の品質管理」の専門家。TPIのカリキュラム・アドバイザー。
デイビッド・マツモト Ph.D.
サンフランシスコ州立大学心理学科准教授。Intercultural and Emotion Research Laboratory 所長。
「感情研究」の第一人者。
リチャード・グレゴリー Ph.D.
イギリスの視知覚心理学者。数々の「錯視」を含む知覚現象の解明に力を注ぎ、脳のしくみ及び認知過程に関する理論の提唱。イギリスで最初の体験型科学センター「エクスプロラトリ」の創設者。
ワイルダー・ペンフィールドPh.D.
認知科学者近代脳神経外科の偉大なる先駆者。モントリオール神経学研究所創立者。
『脳と心の正体』『脳と心の神秘』の著者。
知覚てんかん症の患者に対する頭蓋骨の一部を切除する試験手術中、患者の側頭葉に触れると患者が何年も前に起こった経験を思い出すことを確認した。
レオン・フェスティンガー Ph.D.
米国心理学者。社会心理学を研究し、「認知的不協和理論」を提唱。
ヴィクトール・フランクルPh.D.
ナチスの強制収容所での凄惨な体験を記した『夜と霧』は世界的ベストセラーとして知られる。
ノーバード・ウィーナー
サイバネティックスの提唱者。
ルー・タイスの名言
ルーの名言といえば私はこれだと思っています。
“All meaningfull and lasting change starts from the inside”
“Our present thoughts determine our future.”