苫米地英人YouTube 公式チャンネルで2016/09/20から公開されている苫米地メソッド002「コンフォートゾーン②」の無料動画を全文書き起こししました。
Part1はこちらから。
【書き起こし】苫米地メソッド001「コンフォートゾーン①」じゃあ今回はコンフォートゾーンの第2弾ね。第1弾を覚えてると思うけど、コンフォートゾーンっていうのは、私達の体温が一定、みたいなね、自分たちにとって心地よい空間のこと。もちろん、それに対して、コンフォートゾーンを維持するという働きは、私達のホメオスタシスは、生体に最初から備わっているってことは理解できたよね。
もちろん、なんでゾーンっていうかね。コンフォート温度、じゃないのね、コンフォートライン、じゃないのね。ゾーンであるって言い方するのは、よくコーチングではサーモスタットの例を説明するんだけど、みなさんがエアコンを例えば、設定温度を25℃に設定していたとする。そうするとエアコンは25.01℃になると慌てて冷房が入って、24.99℃になると慌てて暖房が入るわけじゃないのね。そんなことやってオン・オフどころか、冷房・暖房・冷房・暖房を0.1、2℃の差で繰り返してたら壊れちゃうでしょ。だからだいたいは、それが、25℃が27℃とか28℃になると冷房が入って、それが、23℃とかになると暖房が入るみたいな。そうするとプラスマイナス4℃か5℃くらいの差があるでしょ。だからゾーンなわけね、だから特定のピタッとしたラインじゃなく、ある程度の幅があるってこと。それをコンフォートゾーンって言ってるわけ。人間もそうで、いきなり温度が体温より高いんで汗をかく、ってわけでもない。その枠組の中をなんとなく認識してもらったらいいと思う。
そして私たちはそのコンフォートゾーンの中でしか能力を発揮できないようにわざわざ作られてるわけね。能力を発揮できないっていうと実際は語弊があって、他の発揮の仕方をするようになるってことね。頭を使わず、生得的に組み込まれた行動であったり、もしくは何度もたくさん訓練してると、その訓練されたとおりの動きしかできない。それが正しいわけ。だから目の前にクマがいると、「晩飯だーっ!」って走っていったり、「ギャー」って逃げるかっていう生得的なことだったり、もしくは、スポーツ選手がものすごいたくさん練習をしてると、コンフォートゾーンの外側であっても機械的に練習した動きは出るようにできるわけね。
だからものすごい簡単に言うと、頭を使わず、クリエイティブにならず、あらかじめ決められた行動しかわざわざ取れなくしとくというのは、それは危機回避という枠組で、生体には重要だったわけだ。
そうして我々はそうやって進化してきたわけだから。だからコンフォートゾーンがあることはいいことであって、まず基本中の基本は前回言ったように、みなさんはコンフォートゾーンの中にいるときにIQが上がる。だから試験の成績も良くなる。コンフォートゾーンの外側に行くと試験の成績が悪くなる。だからコンフォートゾーンを維持するというのが重要なわけね。そして自分のコンフォートゾーンというのは、他人に乱されることもあるわけ。コンフォートゾーンっていうのは情報的な空間だから。ナワバリ的な空間でもあるわけね。
だから、自分の家の、その、例えばこれはどう考えったって男の子の部屋なわけだ。これが、うちの秘書が綺麗にさ、女の子風にお片付けされちゃったら、俺は、急にIQが下がるわけだ。IQ下がるっていう極端な例として見えるかは別として、居心地が悪くなるわけだ。居心地が悪くなるってのはout of placeっていう英語で、まさにコンフォートゾーンの外側でしょ。それはちゃんとIQが下がり、動きが悪くなるような。みなさんみんな、自分の家を自分の好みに仕上げてるのは、あれは、無意識としてみなさんが居心地のいい、イコール、生産性の高い空間を作るようにしているわけね。実際みなさんが職場とか学校とかで、自分の机の片付けたペンの置き方とか見てみると、みんな癖があったりして、それを片付けられたり変えられると嫌がるでしょ。
みんな生得的にそういうものを持ってるわけ。我々はコンフォートゾーンを維持したいってことね。これは重要なことのわけ。
だから、例えば、飲み屋さんでさ。みなさんはどういう飲み屋さん行くかわかんないけど、俺は昔サラリーマンやってた時丸の内だからさ。すぐそばに一杯飲み屋さんが、新橋ってところに一杯飲み屋さんがあって。そういうところでサラリーマンがさ、カウンターでお酒飲んだり、昔”だるま”って言ったけど、サントリーオールドとかを飲んでたわけだ。そこに今俺が行って、「ラフロイグ30年!」って言ったとする。ラフロイグ30年ってね、30万くらいするんだ、今。30年のボトル入れる人が現れたら、みんな嫌な顔してこっち見るんだよ。この野郎、俺のナワバリ荒らしやがって、、ってみたいな感じ。だからコンフォートゾーンは乱されると、乱すものを排斥しようとする。もしくはコンフォートゾーンに戻そうとするわけ。お前この店なんか来るな!っみたいな感じ(笑)。それで追い出されちゃうわけだ、俺。俺が追い出されるってことは、ちゃんとコンフォートゾーンを維持しようとする力が、自分自身の心の中じゃなく、自分の外の環境まで維持していこうと、ちゃんと我々生得的に持っているわけね。
これは一方でいいんだけど、一方でバリアになる可能性があるのね。それは、今回のテーマなんだけど。
何故かというと、コンフォートゾーンは慣れ親しんだことでしょ。簡単に言うと、昨日までの自分のコンフォートの世界なわけ。今この瞬間まで、って言ってもいいけど。少なくとも過去のことでしょ。ところがみなさんがこうなりたいっていうことは未来のことでしょ。我々はそれをゴールって言ってるわけだけど。未来にゴールを設定した時、未来のゴールの世界というのは、今と違うわけだ。もしも未来のゴールの世界がコンフォートゾーンの中だったら、そんなのゴールとは言わないわけだ。だって現状の延長線でしょ。現状を延長して放っときゃなることをゴールっていうのはおかしくない?
これはちょっと頭を使って考えてみると、例えば、会社の社員がうちの会社の部長になります、とか、社長になります、はすごい未来の夢のようだけど、実はこれは現状の内なのね。無意識がそういう風に働くわけ。なぜかというと、いや、うちの会社は社員が1万人いて社長になるのものすごく難しいですよ、って言っても、でもそれってさ、理想的な現状じゃん。つまり脳はたとえ確率は低かったとしても理想的な現状は、それは現状の中として判断するわけね。だから社長になりたい、は我々はゴールとは言わないわけ。
ゴールというのは、現状の外側にあって初めてゴールって言うわけね。現状っていうのは、何もしなければ続く将来の可能性全て、現状っていうのね。未来は予言できるわけじゃないから正確にはわかんないけど、放っとけば起きそうなことは全部現状ね。ってことは社長になるんだって、確率低いかもしれないけど起きそうなわけだ。少なくとも理想的な現状はあるわけだ。ってことはそれをゴールに設定しちゃうと、みなさんはゴールに縛られちゃうから、現状に縛られちゃうわけ。現状に縛られちゃうってどういうことかっていうと、ますます無意識が、だるま飲んでるときにラフロイグ30年を排斥するようにね。居心地悪いからその他のものは。ゴールを現状の中のゴールしか達成できないようにしていく。ますます自分が縛られていくわけね。ってことはゴールは達成できなくなるでしょ。
じゃあどうやって現状の外を達成していくか、これが重要なのね。
例えば、みなさんが自分の今やっている、例えば学校なら学校の勉強のやり方で、普段の生き方で、なんでもいいよ、達成できない職業だったり、夢だったり、なんかあったとする。職業そのものは我々はゴールって言わないんだけど、そういった職業の中でどういうことをやってる、ってことね。世界トップレベルのプレイヤーなる、みたいなやつね。そういったものを選んだとしたら、それは現状の外だという風に仮定すればね、そうじゃないとゴールじゃないからね。現状の外に設定できたとする、これどういうことだと思う?
コンフォートゾーンを維持したいから、みなさんの無意識は逆に働かない?
自分が設定した正しいゴールだよ。現状の中に設定したゴールは正しいゴールじゃないんだよ。そんなのはゴールとは言いません。そうじゃなく本物のゴールね。その時現状って、自分が大きく変わらなければ、起き得ないようなゴール。これ正しいゴールだよね。そういったゴールを設定したときは、逆にいうとそのゴールの世界は、コンフォートゾーンの外にあるわけだから、みなさんの無意識は達成させないように働くのね。恐いことでしょ?
それが実はコンフォートゾーンのもうひとつのカラクリなのよ。
コンフォートゾーンのいいところは、そこで生産性が上がる、IQが上がる、体が自由自在に動く。だから他所の国に行ってもコンフォートゾーンを維持するっていうのは重要な事だけど。だけど、一度、ゴールを現状の外に設定した人。でも普通、だいたいは現状の外になりたいわけじゃん。今より10番の年収、100倍の年収、になりたいでしょ。あの、会社の経理の人たちとか財務の人たちとか、会社の売上を1割、2割上げるのは想像つくし、利益を1割2割上げるのは想像するけど、利益10倍100倍は想像つかないわけ。そういうやり方想像つかないくらいがゴールの設定で正しいやり方のわけね。想像もつかない、方法論がだよ、方法論が想像もつかないようなゴールを設定したときに、せっかくゴールを設定してもそれは現状の外だから、日々の皆さんの行動は、そうはならないようにするのね。
会社なんかでよくあるのは、上司が部下に何か仕事を命令したとする。その部下が自分の今の働きぶり、今の環境、それがその仕事をすることで崩れる、コンフォートゾーンが崩れると判断することがあるわけだ。なんでもいいよ、もっと早く起きなきゃならないかもしれないし、もっと生産性上げなきゃいけないかもしれないし、もっと利益上げなきゃいけないかもしれないし、海外移住しなきゃいけないかもしれないし、なんでもいい。なんか上司が提案した、これやってくれっていうプロジェクトが自分のコンフォートゾーン、現状のね、慣れ親しんだ環境を崩すと思うとどうなるかって言うと、それをやらないほうがいい理由だったり、やっても失敗する理由、それをものすごいクリエイティブに言ってくる、みなさんが会社の上司だったらそういう部下たまにいると思います。普段クリエイティブじゃないのに、これやれ、ってやらない言い訳だけはものすごくクリエイティブになる人いるでしょ。実は脳はそういう風に働くわけ。コンフォートゾーンを維持するためには、IQが上がってクリエイティブに動くわけ。ってことはせっかくの仕事、クリエイティブにやらない理由を考えつく、これがよく言うダメ社員なの。ダメ社員って、ぐうたらでダメな社員ももちろんいると思うけど、それは最初からわかっているわけで、そういう人はなんとかしてくれ、いなくなれ、がいいけど、ちゃんとした社員なのに、ちゃんとしたプロジェクトをやろうとする時、急に無意識がそれを嫌がる、クリエイティブにやらないほうがいい理由を言い始める。
我々はそれを、コーチングの用語でクリエイティブ・アボイダンスって言うのね。創造的回避っていうのね。コンフォートゾーンを乱す行為に対して我々はクリエイティブに創造的回避するわけ。
今は上司の例を言っただけだけど、自分でゴールを現状の外に設定しても同じことが起きない?せっかく自分でゴールを設定したのに、クリエイティブ・アボイダンスっていうのが生まれる。そこで、それを如何に達成しないかって言うことを無意識が動き始めるわけね。
じゃあそれをどうやって解決するのかっていうのは、次の回で説明したいんだけど、そこまで延ばすのって言われると可哀想なんで、ヒントは先にね。ヒントって言っても答えくらいだけど、先に教えとく。
何かというと、本当に欲しいゴールであるってことをよくよく見極める。たとえ現状の外でも、本当に欲しいゴールだよ、止められても欲しい、誰が反対しても欲しいくらいの、本当に欲しいゴールであるというのがまず大前提ね。本当に欲しいゴールがあったとすれば、そのゴールを達成するために今自分の現状であるべき姿って、きっとあるはずでしょ。ゴールの世界はすごい現状の外だから、よくわかんなくていいわけ。例えば世界のトッププレイヤーになりたい、それぞれの分野でね、そのトッププレイヤーって見たことないわけだし。直接一緒に生活したこともないし、漠然としてるけど。でも将来自分が世界のトッププレイヤーになるんだったら、今きっとこういう生活をしてるだろう、今日々こうしてるだろうは想像つくでしょ。そっちのほうを今の本物の現状よりもよりリアルな世界に変えてく。そういうことをしていく。そのためには例えばアファメーションっていう技術だったりとか、いろんな方法論があるのは、みなさんコーチングで学んだことがあると思うけど、そのいくつかの有効な方法はこれから説明していきたいけど。
基本は簡単ね。ゴールを現状の外に設定して、現状の外のゴールを将来達成している自分が今、本来やってるべき姿の自分をイメージする。
ものすごい単純な例で言うと、将来大金持ちになる、大金持ちがいくらか知らんけど、ものすごく大金持ちになる、というゴールがあったとする。どうやったら達成したらいいか、想像もつかないのがいいんだぜ、こうやってこうやってFXでこうやって稼いだらなります、は現状の中なのね。どうやって稼いだらいいかわかんない大金持ちが将来のゴールだったとしたら、リッツ・カールトンに行って、ラフロイグ30年頼んで、お財布開けたときに1万円札が10枚しか入ってなかったとする。そしたら「ドロボーっ!」っていうのが正しいってことよ。だって将来大金持ちの俺の中には、まだ1,000億円はないけど、お財布の中はとりあえず100万くらいは入ってるわけだ。それが開けたら100万入ってない、10万くらいしか入ってなかったら「ドロボーっ!」。リッツ・カールトンの従業員の人に「ドロボーです。誰か私の財布を盗んだ人、お金を持ってった人探してください!」くらい、そっちの方の臨場感を上げていくってことね。
ゴールの世界が達成しているに違いない今の自分ね、将来達成する自分が今あるべき姿のコンフォートゾーンの世界をより、本物のコンフォートゾーンよりリアルにイメージしてくってことが、基本的なヒントであり答え。その方法論は色々あるので、それはこの後話していくことにします。