【書き起こし】苫米地メソッド001「コンフォートゾーン①」

苫米地英人YouTube 公式チャンネルで2016/09/12から公開されている苫米地メソッド001「コンフォートゾーン①」の無料動画を全文書き起こししました。


まずは何と言っても基本的なコンセプト、コンフォートゾーンについて。ちょっと解説します。

コンフォートゾーンって言葉は、俺ね、アメリカの連ドラとかを見てると、日本語のときにどう訳してるかわかんないけど、コンフォートゾーンって言葉たまに出てくる。映画でも出てくる。だから、もちろんその、コンフォートとゾーンだから、普通に日常の単語だけど、コンフォートゾーンという概念は、普通のアメリカ人にとっては一般概念になっちゃったくらい。

もちろん知ってる人はみんな知ってるけど、アメリカの心理学者が、昔だよね、言ったこと。だから心理学の用語だけど、そんな中で何と言ってもたとえばアメリカ心理学会の会長さんのバンデューラさんと当時一緒に仕事をしてたルー・タイスが、コーチングという枠組みの中に取り込んで、日本でもしくは世界でまさにコーチングで代表されるようなね、自己啓発とかでコンフォートゾーンというのが広々と使われるようになったのは、何と言っても世界で3,300万人生徒がいたルー・タイスのおかげだと思うけども。そういった意味ではそのルーの極東担当として日本に乗り込んできた俺が10年以上はかかってると思うけど、日本でコンフォートゾーンっていう言葉を色んな所で言ってきたから、っていうのもあるんで。日本でもそろそろ日常用語になってるようだと思いますよ。

ただ意外としっかりとコンフォートゾーンという概念を自分の頭のなかで整理して、わかってる人は少ないと思う。ただ、何と言っても短く話をするんで、歴史的にどう変遷してきたかとかは全部端折って、今我々がコンフォートゾーン、それも認知科学的なパラダイムのね、元々コーチングなんかは行動主義・実験主義の時代に出来てきた方法論だけど、多くの自己啓発系ってみんなそうだよね、70年代80年代が主だったわけだけど。もちろん認知科学は80年代に始まってるけど、本当に認知科学のパラダイムとしてそれが理解されるようになったのは最近の話。そういった意味で今風の概念として理解だけしてもらったらいいけど。

そうするとまず言葉の通り、自分たちがそこにいることが心地よい、コンフォートな空間。生物学的はすべての動物がそれ持ってるわけで、人間も自分の体温が36点何度ね、という体温を維持するのにもっともローコストな。あんまり暑いとこれヤバイわけで。40何度超えちゃったらもう我々自分の身体ではそう簡単に調整できないけど、少し暑い40℃くらいまでの間であれば、だいたいは汗かいて自分の体温を調整したりするわけだ。逆に気温が、本当に素っ裸っで零下はマズイけど、ある程度、下がる程度の気温であれば。日本みたいな国だったら、だいたいの、ほんとに真冬や真夏のごく特殊な場所じゃない限りは、おそらく裸でいても大丈夫なくらい、それは自分の体を動かしたり何だりして、温度上げることもそうだよね。ガタガタ震えるっていうものまさにそうでしょ。そういった生体的には自分にとって心地よい状態を作るっていうのは実はゴールがあるからで。生物学的には我々のゴールっていうのは、個体を保存して種を保存していくわけでしょ、そういった自分のゴールに合致した状態を維持していく。それにとってもっとも望ましいと体で感じている空間、もしくは温度だったら温度、そういったものをコンフォートゾーンというわけだ。

そのコンフォートゾーンを維持するというのは、我々は昔から生理学的にはホメオスタシスと言ってるわけだけども、人類に最初から備わっている、動物の時代から備わっている、当たり前のメカニズムだよね。ただ、認知科学的に言うと、そのホメオスタシス空間が情報空間に広がっているという風に説明することができるわけだから。情報空間でコンフォートじゃないときとコンフォートであるということがあるわけだ。

よく言うのは、スポーツなんかでホームとアウェイのことをよく言われるよね。ホームは、家じゃん、簡単に言うと。言葉通り。仲間のプレイヤーがいて仲間の観客がいて自分をサポートしてくれて。それコンフォートってことでしょ。それがいきたりアウェイに行っちゃうと、離れた国に行っちゃうと誰も自分のサポーターじゃない、そのまえに言葉も通じないし。そういったところはコンフォートじゃない。ってことはこれは、物理的な空間での差だけど実際は心の中での問題でしょ、そうするとサッカーなんか昔よくそれが問題になったよね、”海外に行った時なぜチームは弱いのか”。当たり前で、人があがるのと同じで、コンフォートゾーンじゃないというときは、生理的に、情報的な空間であったとしても、なんとなく防御的になるときなのね。危ないとか、リスクが有るときでしょ。自宅にいるときは安心なわけだ、そういった中での反応がちゃんと出てくる。でも逆にそれが出てこなかったら困るわけだ。見知らぬ場所に行ってさ、自宅のようにくつろいでいたら敵にいつ襲われるかわからないし。

そういった意味では、そういった行動を無意識が取ることが悪いことではないわけね。ただそういった無意識が取る制約が自分のパフォーマンスを下げることは十分にあるわけだ。簡単に言うとコンフォートゾーンじゃない時、たとえば全然見知らぬ地域で、たとえばさ、お話するのに慣れてない人がさ、500人、1,000人の聴衆の前に出るとさ、こんな風に声が、、ちょっと緊張しちゃいますって(笑)。なんで俺の声がこうやって上がっていくかって言うと、筋肉がこわばるから、ちゃんと声帯が声を高くしてくれるから。だから緊張した人の声はこんなふうに高くなっちゃうわけだ。もちろんその時っていうのは、筋肉がこわばるってことは、体の動きも制約がくるわけだ。だからスポーツ選手なんかがアウェイに行くと、声出してなくても、声出したらきっと声がうわずってるかわかると思うんだけど、ちゃんと体の動きが鈍くなって硬直して。

脳内で言うと当たり前だよね、コンフォートゾーンは脳の中の情報処理だから、意外と前頭前野まで関わって脳全体の処理だけど、それが最後に視床下部とかに出てくるわけだから、そうするとそのまま自律神経系統に来るわけだ。そうすると心拍上がるし、声うわずるし、筋肉の動きが悪くなるし。それがまさにコンフォートゾーンじゃないとき。これはスポーツの例だとすごいわかりやすいと思うけど、全部知的活動でもおんなじことが起きるわけ。

簡単に言うとコンフォートゾーンじゃないときはIQが下がるわけね。

昔から心理学とかではファイト・オア・フライト(Fight or Flight)って言葉があるんだけど、ファイトは戦うファイトね、フライトは飛ぶってことだけど、逃げるって意味もあるわけね。山でいきなりイノシシに出会った時、そうするとファイトっていうのは自分のほうが明らかに強いと思ったらば、「やったー!晩飯だーっ!」ってて言って突っ込んでいくわけだ。逆にこれはデカイ…と思ったときは「ギャー」って逃げるときもあるわけだ。そのファイト・オア・フライトっていうのはあんまり頭使ってないで本能的に決めるのね。そうだよね、重力加速度計算しながら、こいつが当たったときのダメージは、、って計算してたら、逃げそこねちゃうわけだ。だから何ていうか、生得的な本能的な反応として、「ギャー」ってなったり、「晩飯だー!」になったりする、それは体に組み込まれたメカニズムだと思ってほしいのね。

そのときに、例えばファイトって戦いに行くときも、「晩飯だー!」って行くときに、慌てて走った時、もしかしたらさ、砂利でさ、足の裏傷ついてるかもしんないし、「ギャー」って逃げる時、笹で足切ってるかも知んないけど、その時、あの辺には砂利があるからゆっくりこうやって行こう、、とか一切考えずに、それは皆さんわかるでしょ、「ギャー」って逃げる時とか全然考えず。ってことは、簡単に言うと前頭前野の活動が抑えられて、扁桃体を含む情動処理のほうが強くなって、それでいいわけだ。だから逃げられるわけで。そこでのんびりと重力加速度計算してたらダメなわけだ。

生得的にはいいことなんだけど、これが情報空間で起きてるときは、イノシシじゃなくても情報空間で「ギャー」っていう状態、コンフォートゾーンじゃない状態であれば、ちゃんとIQが下がるわけね。そうするとスポーツも、もちろん近代スポーツは絶対IQいるし、スポーツじゃなくてももっと純粋に頭の中だけの、ほとんどの我々の付加価値を生み出す生産的な仕事っていうのはほとんど頭の中でやるわけだ、そういったものはコンフォートゾーンじゃないときはIQ下がっちゃうから、生産性上げようがないわけだ。

だから基本は我々はコンフォートゾーンを常に維持することができるようになる。それが基本中の基本ね、これが重要なの。

だからアウェイに行ってもまるで自宅にいるように。ある程度すると当たり前になる。僕はよく500人、1,000人の講演会たまにやるわけだ。1,000人超えることは会場がないんで、東京ではまずやらないんだけど。次東京ドームになっちゃうんだから。でも1,000人位まではやる。そうすると1,000人の前でお話をするのに、「先生はなんで自宅のようにくつろいでるんですか?」ってよく言われる。だいたい俺はさ、講演会でも椅子に座ってやるし、普通にくつろぎながらパイプ吸いながらやってるわけだ。ちょっと待って、なんでそんなにくつろいでるんですか?(笑)コンフォートゾーンだからね、我々はお話をするのも職業だから。だからカメラの前でもカメラの前だったらさ、ポテンシャル的には1,000人以上の人が見てるわけだし、もしくは本当に生で聴衆が目の前に1,000人いても自宅でお話してるのと同じなのね。そうしないとさ、1,000人もいるんでちょっとあがってます、、って感じだったらさ、IQが低い俺がさ、お話したところにさ、お金払われても困るわけでしょ、それはまさに私達が当たり前になってるから。

じゃあまずその、コンフォートゾーンについて話すことたくさんあるんだけど、その一番基本中の基本は何かって言うと、どうやってコンフォートゾーンを維持するか。

ひとつはものすごい簡単。慣れだよね。慣れればいいわけだ。最初50人で緊張してた人がいつの間には50人どころか100人位でも平気になってくれば、だんだん1,000人になってく。まず慣れがある。慣れっていうときにだいたい我々が指導するのは、わざわざ、じゃあ1,000人の講演会を何度もやりましょう、じゃない。頭のなかでリアルに如何に1,000人がいるかということを上手にイメージできるかっていうところが勝負で。メンタルリハーサルだよね。メンタルリハーサルをやることでコンフォートゾーンを維持していくことができる。これが重要なこと。

最後に今後、将来、コンフォートゾーンについてもうちょっと話をしたいけど、そこにつなげる重要なことね。実はコンフォートゾーンが皆さんの生産性を上げたり、成功していくための壁にもなりうるってこと、最後に頭に入れておいてほしいのね。

なんでかっていうと大抵のコンフォートゾーンは今言った、慣れでしょ。慣れっていうのは日々の出来事でしょ。我々の言葉で現状っていうのね。現状にいるときが一番いいっていうのは、本当に何かやりたいっていうときは現状じゃないことをやろうとするわけだ。そうすると現状じゃないことをやろうとすると、わざわざやりたいことなのに、そうじゃない、やらない今の、何もしない今の現状に引き戻そうとする、とてもつもない力が働くわけね。これも同じようにホメオスタシスね。

これをどうやって克服してくかって言うことが次のステップを皆さんと考えていくことだけど。まずはコンフォートゾーンを維持できない人たちがたまにいる。ありとあらゆる状況で。そのためにはコンフォートゾーンという概念を理解した上で、もしも自分が緊張したりうわずってきたら、それは単純で、みなさんに問題があるのではなく、その環境がコンフォートではないっていう、環境と自分の関係の中での話だから。それは自分であらかじめ余裕があるのであればメンタルにそれを練習しておく。

あのね、俺が卒業した高校はね、東大合格率が高いんだよ。理由は簡単で駒場東大前にあるから。そうするとさ、試験に行くって言っても普段学校に通ってるのとおんなじじゃん。それだけでだいぶ得してると思うよ、うちの高校は。まさにそうでしょ。だからみなさんが受験で行きたい大学があったときに、別に試験会場が違うとこだったら困るけど、その試験会場を何度も行っておく。それだけで慣れじゃん。もちろん、行かなくてもメンタルリハーサルを何度もやっておく。それだけでコンフォートゾーンは維持できるから。それは色々、我々はまずパフォーマンスを発揮できるのはコンフォートゾーンの中にあるときだけっていうことを認識して、そういうことをちょっと気をつけて生活するとだいぶ違うと思います。

そして次のステップね、それは今回の話じゃないけど。そのコンフォートゾーンそのものが、逆に我々の成長を妨げる最大の要因でもありますよ、ってことは次にお話したいと思います。

苫米地メソッド012「コンフォートゾーン完全版」