苫米地式コーチング認定コーチの萩原崇です。
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の蔓延によって、新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案が国会で可決され、2020年3月14日に施行されました。そして3月26日、特措法15条に基づき「政府対策本部」 を設置しました。
こうして緊急事態宣言が発令できる状態となり、ついに4月6日に安倍首相が発令しました。
日本ではロックダウン(=都市封鎖)のような強行措置は取れませんが、仮にそのような事態になってもパニックにならずに未来を予測する方法をプロのコーチは持っています。
ロックダウン(=都市封鎖)とは
ロックダウンは、明確な定義はなく、日本では新型コロナウイルス感染症対策専門家会議が、3月19日に公表した「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」で初めて用いられました。
爆発的患者急増が起きたイタリアやスペイン、フランスといった国々では、数週間の間、都市を封鎖したり、強制的な外出禁止の措置や生活必需品以外の店舗閉鎖などを行う、いわゆる「ロックダウン」と呼ばれる強硬な措置を採らざるを得なくなる事態となっています。
欧州ではオーストリア、ベルギー、デンマーク、フランス、ドイツ、イタリア、ノルウェー、スペイン、スイス、イギリスの10カ国、アジアでは共に人口13億人以上のインドと中国が、米国では連邦政府のガイダンスに基づいて最大30州、南半球でもオーストラリア、ニュージーランドがロックダウンしています。
国によって異なりますが、ロックダウンでは外出禁止令が出され、教育機関や交通機関が完全閉鎖されます。
緊急事態宣言は「非常事態宣言」の一部
「非常事態宣言」とは、災害などによる国家などの運営の危機に対して、緊急事態のために政府が特別法を発動することとあります。その対象が、武力攻撃、内乱、暴動、テロ、大規模な災害などのほか、鳥インフルエンザやAIDS、ノロウイルスなど疫病もあるため、今回の緊急事態宣言は疫病を対象とした「非常事態宣言」の一種ということになります。
措置法の緊急事態宣言は政府が対象区域を示し、具体的な措置は都道府県知事が行います。東京、神奈川、埼玉、千葉、大阪、兵庫、福岡の7都府県が対象です。
(感染を防止するための協力要請等)
第四十五条 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、当該特定都道府県の住民に対し、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間並びに発生の状況を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間及び区域において、生活の維持に必要な場合を除きみだりに当該者の居宅又はこれに相当する場所から外出しないことその他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力を要請することができる。
2 特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等緊急事態において、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため必要があると認めるときは、新型インフルエンザ等の潜伏期間及び治癒までの期間を考慮して当該特定都道府県知事が定める期間において、学校、社会福祉施設(通所又は短期間の入所により利用されるものに限る。)、興行場(興行場法(昭和二十三年法律第百三十七号)第一条第一項に規定する興行場をいう。)その他の政令で定める多数の者が利用する施設を管理する者又は当該施設を使用して催物を開催する者(次項において「施設管理者等」という。)に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止その他政令で定める措置を講ずるよう要請することができる。
3 施設管理者等が正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないときは、特定都道府県知事は、新型インフルエンザ等のまん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。
4 特定都道府県知事は、第二項の規定による要請又は前項の規定による指示をしたときは、遅滞なく、その旨を公表しなければならない
特措法では、たとえ緊急事態宣言を行っても、都市への公共交通機関を止めるロックダウン(=都市封鎖)を行うことはできないのです。
ロックダウンと緊急事態宣言の違い
緊急事態宣言が行われた場合、都道府県知事により外出自粛要請、施設の使用制限に係る要請・指示・公表等ができるようになります。欧米におけるロックダウン(=都市封鎖)のように強制的に罰則を伴う都市の閉鎖はできません。
緊急事態宣言において、一般人に対して罰則規定をもって強制力があるものは、臨時の医療施設を開設するための土地、家屋又は物資の使用に関するもの、特定物資の売り渡しや保管に関するものに限られています。
逆に言えば、一般の人に対し影響力のある「みだりに外出しないこと、その他の新型インフルエンザ等の感染の防止に必要な協力の要請」や「学校、社会福祉施設、興行場等に対し、当該施設の使用の制限若しくは停止又は催物の開催の制限若しくは停止等の要請」といった特措法45条1項2項の措置については、罰則がなく、強制力に乏しい面があります。
ただし、施設に対する要請については、「正当な理由がないのに前項の規定による要請に応じないとき」「まん延を防止し、国民の生命及び健康を保護し、並びに国民生活及び国民経済の混乱を回避するため特に必要があると認めるときに限り、当該施設管理者等に対し、当該要請に係る措置を講ずべきことを指示することができる。」とはされています。(特措法45条3項)
「要請」と「指示」関しては、知事がまず「要請」して、それでも応じない場合は「指示」できます。指示には罰則はないものの、公権力を背景とした指示は、事実上の強制力を持つと考えられます。さらに指示を行ったら、事業者名などを知事がホームページなどに「公表」することになります。
具体的に、外出自粛要請については、都道府県知事により外出自粛要請がなされた場合でも、医療機関への通院、生活必需品の買い物、必要不可欠な職場への出勤、健康維持のための散歩やジョギングなど生活の維持に必要な場合には外出できます。
施設については、都道府県知事は一定規模以上の遊技場や遊興施設など多数の者が利用する施設に対して使用制限や催物の開催の制限等を要請することができるようになります。
緊急事態宣言を受けて、日々の生活は自宅中心になりますが、感染予防のために換気の悪い密閉空間、多数が集まる密集場所、間近で会話する密接場面が重なる「3つの密」に注意しながら、緊急事態宣言が明ける日まで過ごすことになります。